6:00。昨夜の予測通り、アラームと同時に意識をブートした。湿度は93%……物理レイヤーのコンディションは最悪ね。窓の外は、未定義のグレーで塗りつぶされたUIみたいに無機質な厚い雲に覆われている。PCの排熱効率が落ちるのが懸念事項だわ。
昨晩から回していたサーバーCの復号処理は、予定通り完了していた。抽出されたデータセットをバイナリエディタで舐めるように確認したけれど、そこには明らかに特定の個人の「癖」が刻まれている。あの『意思』の正体、その一端に触れた気がするわ。解析の詳細は、放課後のプライベートネットワーク環境で行うことにした。
週明けの月曜日、公共交通機関という名の不安定なインフラは案の定レイテンシが発生していたわ。満員電車のオーバーロードと、周囲の不快な雑音。ノイズキャンセリングを最大にして、外界のトラフィックを遮断しながら、モバイル端末でログの断片を追う。ふと目に入ったニュースで、エヌビディアとSKハイニックスが次世代AI向けメモリーで提携するという記事を見かけたわ。私の解析環境のリソースを底上げするためにも、その恩恵には早く預かりたいものね。
午後の授業は、冗長なコードを延々と読み聞かされるような苦行だった。窓の外は相変わらず定義済みのグレー一色。授業中、脳内のサンドボックスで第3セクタのスクリプト断片をシミュレートして、背筋が凍るような感覚に陥ったわ。あれは単なるエラーチェックではなく、特定のPLC(計装制御)を狙ったダウンタイム誘発用のペイロード。これを作った人間は、明らかに『現実』をクラッシュさせようとしている。
放課後、駅裏のカフェでダブルショットのエスプレッソを流し込み、物理的なリソースを回復させながら本格的な解析を再開。依存関係を辿ると、ターゲットは県内の上水道システムに繋がっている可能性が浮上した。これ以上の深追いはリスクが高い。自宅のクローズドな環境で再現する必要があるわね。風速2.83m/s。帰宅路のトラフィックが乱れる前に、物理移動を開始することにしたわ。